Qwen3.6-Plus と Seedance 2.0:片方はコード、片方は動画。同じ比較表に載せるな
林政賢 ·
この記事の第一版では、Qwen3.6-Plus と Seedance 2.0 を同じ比較表に載せていた。後で気づいた。これは電動ドリルと炊飯器のどちらが使いやすいか比べるようなもので、そもそも同じ種類の道具ではない。だから書き直した。
まず二つの名前を正しく
Qwen3.6-Plus は、アリババが 2026 年 4 月 2 日に発表した大規模言語モデル。つまり「文字を読み、文字を書き、コードを書く」種類のものだ。売りはエージェント型コーディング:複雑なプログラミング課題を分解し、自分で書き、自分でテストし、動くまで自分で直す。ネイティブなマルチモーダルで、デザインカンプのスクリーンショットを見てそのままフロントエンドのページを出せる。コンテキストは標準で 1M トークン、プロジェクトを丸ごと入れてもまだ余る。発表時点で、Claude Code、Cline、OpenCode といったコーディングツールに接続できると公式が明言していた。
Seedance 2.0 は ByteDance の動画生成モデル。文字か画像を渡すと、動画が返ってくる。コードは書かないし、ナレッジベースの整理もしない。
片方は文字の脳、片方は映像の脳。第一版でこれを競合として扱ったのは私たちの誤りだ。
では、なぜまだ一つの記事で語る価値があるのか
台湾の中小企業にとって、この二つはちょうど同じ問いの両半分だからだ。
経営者の問いは「どのモデルが強いか」ではなく、「今月やるべきこの仕事を、誰に任せるか」だ。仕事を並べてみると、だいたい二つの山に分かれる。
文字脳の仕事(Qwen3.6-Plus の類に)
社内ナレッジベースの Q&A、カスタマーサポートの返信、見積書と契約書の初稿、旧システムの機能を新しく書き直す、デザインカンプからウェブページを起こす。共通点:入力も出力も文字(またはコード)で、しかも社内データに触れることが多い。
映像脳の仕事(Seedance 2.0 の類に)
商品動画、SNS 素材、提案用のコンセプト映像、広告コンテの動くプレビュー。共通点:出力が画で、ほとんど機密に触れない。
場面で振り分ける:機密は家に、見栄えは外に
ここがこの記事で一番実用的な部分だ。
文字脳の山には、契約書、顧客リスト、社内フローが流れ込む。誰かのクラウドに放り込みたくないものばかりだ。Qwen シリーズには昔から自前で立てられるオープンウェイト版があるので、この山の正しいやり方は、自分のマシンで回せるものは自分のマシンで回し、データを管理下の環境に留めること。(自分の GPU に収まる版の選び方は別記事に書いた。末尾にリンクがある。)
映像脳の山はちょうど逆だ。動画生成は文字の何十倍もの計算資源を食うので、自前でマシンを買っても割に合わない。しかも商品動画や SNS 素材はもともと公開するものだから、クラウド API でも機密の問題はない。従量課金、使った分だけ払う。それが小さな会社のあるべき計算だ。
機密の仕事は自分の家に、
見栄えの仕事は外から借りる。
モデル選びはベンチマークではなく「1 トークンで何が得られるか」で
二年前はパラメータ数、去年はベンチマーク、今年本当に比べるべきなのは単位コストでどれだけ使える成果が得られるかだ。どれほど強いモデルでも、毎回三十秒待たされて半分書き直すなら、実効効率では、速く返して二か所直せば使えるモデルに負ける。
だから今、私たちがクライアントのために評価する順序はこうだ:今月本当にやる 10 件を並べる → 文字脳と映像脳に分ける → それぞれ「十分で、つなぎやすく、高くない」ものを一つ選ぶ → 一週間回す → 実際に何人時が浮いたかを見る。ベンチマーク表は最初から最後まで出てこない。
一言で言えば:「Qwen と Seedance のどちらが良いか」ではなく、「この仕事は文字脳か映像脳か」を問う。山を正しく分ければ、モデル選びは間違えない。
この記事について:Qwen3.6-Plus の発表日(2026-04-02)、1M コンテキスト、エージェント型コーディング、Claude Code などへの接続については、Alibaba Cloud の公式発表と当時の報道による。本記事の第一版は Seedance 2.0 を言語モデルと誤って比較しており、2026 年 9 月に全文を修正し、この注記を残した。
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著者:林政賢(監督 · Gen AI クリエイター兼エンジニア · 瑭宜影像創意工作室 創業者)